ステレオカメラによる自動運転

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東京工業大学 大学院理工学研究科 実吉 敬二

1.はじめに

近年、衝突回避ブレーキの普及が目覚ましい。そしてその実現に一役を担ったステレオカメラへの注目への注目度も急激に高まっている。レーザーレーダーやミリ波レーダーを用いた装置が主流であるが、ステレオカメラを用いた装置が最も優れた性能を発揮している。それは最近公表されている様々な評価テストの結果でも実証されている1、2、3)。これは他のセンサーに比べてステレオカメラが障害物をより的確に検出するからである。人間は眼をセンサーにして障害物を見付け、回避する。障害物はとにかく目に見えるのである。だから眼と同じ画像も確実に障害物を捉える。しかも人間の行なっている両眼立体視になぞらえたステレオカメラはその詳細な形状まで立体的に捉える。

暗闇では人間もカメラもお手上げである。だからレーザーやミリ波がよいと主張する人たちもいる。しかし暗闇で運転する人はいない。レーザーレーダーやミリ波レーダーはセンサーから光や電波を発射してその反射波を捉えることによって検出する。だから、反射しにくい物体はよく見えない。まず人間が見付けられる障害物を検出できるようになってから、人間が見付けられない障害物を発見するのが順番であろう。衝突回避ブレーキは人間のうっかりミスによる衝突を防ぐために開発されたものである。事故統計からもうっかりミスによる衝突事故が圧倒的に多い。真っ暗闇を走れるようになっても事故は大して減らない。

人間並みに検出できることの重要さは自動運転においてさらに顕著になる。今さかんに開発が進められている自動運転車は特殊な環境、すなわち人間が運転できないような環境で走らせるのではなく、高速道路や一般道といったごく普通の道を走行させることを目標にしている。人間であれば普通に運転できる道である。このような場所で万が一でも障害物を検出できないことがあってはならない。そうするとステレオカメラの優位性が際立ってくるのではないだろうか。拙稿では、次の章でまずステレオカメラの原理を述べ、第3 章でステレオカメラによる交通環境の認識方法を説明する。第4 章であらためてステレオカメラの優位性をもう少し具体的に述べる。そこで何故ステレオカメラがそのような優位な特性を得られるのかが理解していただけると思う、さらに第5 章でステレオカメラによる自動運転への試みを紹介させていただく。ステレオカメラによる自動運転はまだ世界中でどこにもなく、大きな挑戦であるが、そこに向かう道筋を示してみたいと思う。

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年 代

技 術

1970年代

日米欧で研究開発が始まる。

1980

日本から光造形法の特許出願。

1986

米国で光造形法の特許成立。

1987

世界初の3Dプリンタ発売。

1988

米国で熱溶融積層法の特許成立。

2005

英国でRepRapプロジェクト発足。

2008

熱溶解積層法の特許が失効し、主にパーソナル用途にさまざまなメーカが参入。

2012

米国で3Dプリンタの研究機構(NAMII)設立。

2013

オバマ大統領が3Dプリンタによる米国の製造業回帰を一般教書演説。

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方 式

特 徴

光造形法

光硬化性樹脂を用い、レーザ光を集光して2次元走査し、樹脂を一層ずつ固化させる。大型の試作品の製造も可能。

熱溶解積層法

熱で溶かした樹脂を型に押し付けて成型する。熱可塑性樹脂を用いることができる。

粉末焼結法

高出力レーザ光を集光し、樹脂や金属などの粉末を部分的に固化させる。

粉末接着法

主に石膏粉からなる粉末をノズルから噴出する接着剤によって部分的に固化する。

面露光法

光造形法の一種である。一層のデータをプロジェクタによって一括照射して固化させる。

インクジェット法

光造形法の一種である。インクジェットノズルによって樹脂を塗布し、露光して固化させる。

 

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