自律型自動運転自動車とその必要技術

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金沢大学 理工研究域 機械工学系 菅沼 直樹

1.はじめに

自動車の運転支援・自動運転システムは、安全性、快適性の向上が見込まれることから近年様々な研究開発が行われてきている。特に自動運転に関してはこれらの利点に加え、例えば高齢過疎地域における次世代の交通手段としての活用や、交通容量増加、物流の効率化といった様々な活用方法、利点が想定できることから近年特に活発に研究開発が行われるようになってきた。

自動車の自動運転に関する研究は、古くから高速道路での適用を想定して様々な研究、プロジェクトが日米欧を中心として実施されてきた。例えば、米国カリフォルニア州のPATH、欧州のSARTRE といったプロジェクトがある。また日本においては、著者らも参加したエネルギーITS1)等のプロジェクトがある。エネルギーITS では、高速道路において隊列走行するトラックの車間距離を4 m まで縮めることで空気抵抗削減による燃費改善を図ったプロジェクトであり、開通前の新東名高速道路での実証実験を始め、多くの成果を残してきた。

一方、一般道も視野に入れたいわゆるDoor-todoorでの自動運転を目指した研究は、DARPA(米国 国防高等研究計画局)が2007 年に実施したUrban Challenge 以降、米欧を中心として特に活発に行われるようになってきた。例えば米国において、IT 企業のGoogle がUrban Challenge で上位の成績を残したスタンフォード大学2)、カーネギーメロン大学3)の研究者を招き入れて開発を進めているGoogle Car(図1)等の例がある。Google Car では既にネバダ州でナンバープレートを取得し、自動運転で30 万マイル以上の距離を走行するといった状況にある。また、欧州ではダイムラー社がドイツ国内の約100 km の市街地を含む道路を自動運転で走破4)するなど、活発に研究開発が行われている。

日本においては、トヨタ自動車や著者らの研究室がデモを行った東京モーターショー20115、6)等の例がある。また2013 年になりITS 世界会議20137)やCEATEC 2013、東京モーターショー2013 等においていくつかの企業や大学などがデモンストレーションを行うなど、徐々に研究開発が活発となりつつある。

このような自動運転技術の開発には、ロボット工学、情報処理工学を始めとする様々な分野の研究開発が必要となる。このため本稿では、自動運転システムに必要な技術について解説した後、著者らの大学で開発中の自動運転自動車の概要について述べる。

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図1 Google 社の自動運転車両

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年 代

技 術

1970年代

日米欧で研究開発が始まる。

1980

日本から光造形法の特許出願。

1986

米国で光造形法の特許成立。

1987

世界初の3Dプリンタ発売。

1988

米国で熱溶融積層法の特許成立。

2005

英国でRepRapプロジェクト発足。

2008

熱溶解積層法の特許が失効し、主にパーソナル用途にさまざまなメーカが参入。

2012

米国で3Dプリンタの研究機構(NAMII)設立。

2013

オバマ大統領が3Dプリンタによる米国の製造業回帰を一般教書演説。

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方 式

特 徴

光造形法

光硬化性樹脂を用い、レーザ光を集光して2次元走査し、樹脂を一層ずつ固化させる。大型の試作品の製造も可能。

熱溶解積層法

熱で溶かした樹脂を型に押し付けて成型する。熱可塑性樹脂を用いることができる。

粉末焼結法

高出力レーザ光を集光し、樹脂や金属などの粉末を部分的に固化させる。

粉末接着法

主に石膏粉からなる粉末をノズルから噴出する接着剤によって部分的に固化する。

面露光法

光造形法の一種である。一層のデータをプロジェクタによって一括照射して固化させる。

インクジェット法

光造形法の一種である。インクジェットノズルによって樹脂を塗布し、露光して固化させる。

 

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