科学技術予算の動向と研究者の考え (インターラボ 編集部)

 現在の日本経済は先行きも不透明で、科学技術予算も昔のように急激に増加することは考えにくい。平成28年度の動向を見ると、新たに加わった項目としては「人工知能の拠点構築」において15億円、特定の研究室にとらわれない「卓越研究員」制度に10億円、大学・企業等による「共創プラットフォームによる共同研究推進」に7億円、地域に貢献する大学に対し企業等とビジネスモデルを構築する「地域イノベーション・エコシステム」に対して6億円等がある。
 重点的に予算が配分されている具体的なテーマとしては宇宙航空関係予算の中の「H3ロケット」がプラス10億円、「次期技術試験衛星」が新たに4.6億円、宇宙ステーション補給器(HTV-X)に20億円、また、増額では次世代コンピュータ(ポスト京)の開発に27億円プラスといったところが、主なものとなっている。

 先日、これからの研究テーマと科学技術予算に対して、光・レーザー技術の研究で活躍され現在レーザー学会の常務理事であられる大阪大学の山本和久先生にコメントを頂くと、以下のようなお話を伺うことができた。

 現在光技術は第2次産業から第3次産業などに広がって来たがグローバルには人口爆発により第1次産業が重視されるようになりつつあり、ここに光・レーザー技術の導入が始まっている。つまり新たな研究分野が広がろうとしている。
 日本では高齢化が進み農業従事者が減少しており、これに対して農業の工業化、例えば固体光源植物工場などが重要となりつつある。水産業で言えば日本は海に囲まれており有利であるが、他国参入による乱獲により水産資源は減少している。これを回避するのは養殖であるが、まだまだ光技術が入り込む多数の余地がある。
 国の競争的資金は現段階でまだ第1次産業には投資されないが、COIやImPactなど単一の技術ではない領域、テーマが動いており、光・レーザー関係も多数取り込まれている。引き続き尖った研究の複合体構築がプロジェクト取得の鍵になるようである。

 先生が考えておられるようなことをさらに進化させて日本はこれからも科学技術立国を目指していかねばならない重要なポイントに差し掛かっていることは相違無い。しかしながらここ数年は日本の“メンツ”として東京オリンピックを見据えた時、どうしてもスポーツ活動関連予算や海外からの観光客誘致や対策などに予算を振り分けざるをえないと思われる。
 普段から多忙を極める中で研究開発をされている多くの方々も、たまにはちょっと見方を変えて、スポーツの記録計測に関わる技術であるとか、長蛇の列に並ぶ人々をいかに早く捌き、ストレスから解放するかなどのサービスに役立つ研究などに取り組んでみても、今だけは案外予算獲得への道へ繋がるのかもしれない。

※参考資料:財務省ホームページ( https://www.mof.go.jp/budget/